マンガの感想です
セラフィム 全1巻
今敏作
今敏は大友克洋のアシスタントを経てアニメの監督になった経歴を持ちますが、作品はアニメの方が有名。
今敏は大好きだった。初めて氏が監督をしたアニメ映画「パーフェクトブルー」はストーカーの影に怯えるアイドルというストーリー仕立ての中に現実と虚構のせめぎあいを織り交ぜとても素晴らしかった。「千年女優」は氏が目指したテーマのひとつの頂点と言えるのではないか。もっと多くの人に見て欲しい。
氏は2010年に46歳の若さで癌で死去してしまう、とても残念でならない。もっと多くの作品を送り出して欲しかった。
そんなわけでこのセラフィムですが、マンガとしてはそんなに面白くはない。
序章は壮大なスケールを感じさせる。
だがしかし、共同制作者が押井守なんですね。制作のベクトルが折り合わず、未完になっています。今敏のblogに決裂した理由が載ってますが、・・・押井は残念すぎる。
追悼の意味で、おそらく絶版になるであろうこのマンガを買った。そういう次第であります。
幻想ギネコクラシー
沙村弘明作
沙村弘明の短編集。基本的に読後感が悪いのが大半だが、最後に収録された「イヴァン・ゴーリエ」は更に一段と読後感が悪い。でも不思議な魅力を放つ作品だ。くだらない話をいかにくだらなくない感じにさせて読ませるか。そういった作り方をさせたらこの人は異常な上手さを発揮する。
女子攻兵 第6巻
松本次郎作
今巻でいよいよ物語の終着地点「ツキコ」の近くまで迫る。
ところで、そもそもなぜ主人公が乗っているロボットが女子高生の形をしているのか、必然性について語られることは全く無い。おそらくもっとも大事(だと思われる)な点について述べられることもなく、この物語は進行していく。おそらく理解とか、説明とか、納得とか、解決とかそういったものはこのマンガにはない。
そして、このマンガは完結までそういった物はないだろう。
だけど、この作品が面白いのはアクション、ロボット、バトル、変態、エロ、女子高生とか。男子の妄想が満載だからなのだ。文化庁推薦的な物だけがマンガではない。まあ、好きなんですね。こういうチープでグロテスクでお下劣なマンガが。自分は。
大砲とスタンプ 第4巻
速水螺旋人作
気軽な読み味が魅力の事務系SF戦記物。
コメディチックですが、戦争なもんで作中では人が結構死んでいます。
シリアスなシーンをところどころ織り交ぜつつも、軽妙な雰囲気を失わないのは作者の絶妙なバランス感覚ですね。この路線を維持してほしいものです。
ワールドトリガー 第9巻、10巻
葦原大介作
大規模侵攻編終結からランク戦へ。
主人公の修が弱いながらもなかなかの知恵と機転、勇気を見せてくれます。
主人公は強くなくちゃいけない、というのが少年マンガの鉄則というか、お約束というか。
そうなんですけど、けども脇役じゃなくて主人公のポジションでこういうキャラに仕立てるあたり、作者のこだわりなんでしょうね。
主人公はあまりの弱さ故、敵にやられ死ぬ手前まで行きます。危篤状態で病院に担ぎ込まれます。とにかく弱い。なんだけども、このキャラがなぜ主人公なのか。その理由を読者は10巻で知ります。
好きだなあ、弱いけど応援したくなるキャラって。いいなあ。
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 第1巻、2巻
浅野にいお作
宇宙人が地球に侵略してきたんだけど、状況は膠着し、空に巨大なUFOが浮かんでいるんだけど、時たま謎の音声をスピーカーから発するのみで、そんな一方、人類のある程度平穏な生活が営まれている。
そんな非日常と日常がごちゃまぜになった世界で生きる女子高生2人の青春を描く、そんなマンガです。
うーん、伝わるのか、この説明。
面白いと思いますよ。このマンガ。立ち読みしてこの作品の魅力に引き込まれました。
・・・・この物語がどういう方向に転がるのかよくわかんないけど、うん、面白いと思う。